エッセイ「カレーの思い出」

俺とカレーのことを考えて見る。俺はカレーが大好きやが、グルメというほどではない。いつやったか、カレーの専門店を紹介した雑誌を買うて、友人と大阪カレーグルメツアーを企画したことがあったけど、その企画は4、5店巡ってやめてしもたし、昼食で食べたい物が見当たらへんときは、その店のメニューにカレーがあればそれを注文する。まあ、そういう程度のカレー好きに過ぎへん。けど、一旦カレーを食べだすととまらん。何食食べて飽きることがないんや。
今では信じられへんことやが、40年前といえば、そんな山間部で最も安価に手に入る海の幸がクジラ肉の冷凍やった。おふくろはそれを牛肉代わりにカレーやすき焼きに入れてくれた。
そんでも俺の小さい頃は生活が貧しく、安いとはいえそのクジラ肉がカレーに入っていることはそうたびたびあることではなかった。せやから、カレーの中にクジラ肉があるときはホンマに嬉しかった。
おふくろはようカレーを作ってくれたが、牛肉やクジラ肉がないときに代わりに入れたんは魚肉ソーセージやった。しかもそのソーセージは品が悪く、保存料とか何だかの粉類がふんだんに入ってたから、煮込むと大きく膨張し、カレー鍋の中にプカプカ浮き上がるんや。それでも俺はそのカレーが嬉しく、2杯も3杯もお代わりしたんを今でもよう覚えてる。
中学校を卒業し、今は死語となった集団就職で、俺は松山市にある印刷会社に就職して夜間高校に通った。その頃、俺は1階に共同炊事場と4畳半1間の2部屋、2階に4畳半1間が4部屋ある、会社近くのオンボロアパートの2階に住んでいたんやが、その炊事場でようカレーを作った。
印刷会社の給料は安かったから、もちろんカレーの中に入っているのは魚肉ソーセージや。食べてはルーや野菜を継ぎ足し、食べては継ぎ足ししながら、もうカレーは見るのも嫌やいうぐらいになるまで、毎日、毎日、よう食べた。カレーのルーはバーモントカレーやった。
高校3年生のとき、俺は同級生の梨佳ちゃんに恋をし、その梨佳ちゃんがアパートに遊びにきてくれたことがあった。俺はそのときカレーを作って梨佳ちゃんを饗応したんやったが、それは1週間ほど食べ続けた後にルーと野菜を追加した、何か白湯のような薄い味の中に、ソーセージがプカプカ浮いているような、そんなカレーやった。
梨佳ちゃんはそれから2度と俺のアパートに来なかったし、2人の関係も俺の部屋で手を握りあっただけの幼いものに終わったんは、2人がウブやったこともあるやろが、あのカレーが一役買っていたかもしれへんと思うことがようある。
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