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小話「つけまつげ」 - 最近のトピックスや弁当作り・断酒生活そのほかもろもろ日記

小話「つけまつげ」

小話を1つ

              つけまつげ

  なんで、アタシがゲイになったか教えてって? そりゃあ、教えてあげてもええけど、ちょっと高うつくわよ。よしさん、この店ひけたらアタシに付き合ってくれる?わかってるわよ、そんなこと。ホテルに連れてってなんていわないから。ねえ、この前のあのお寿司屋さんに連れてって、ねえ。

 ホント、いいのね。嬉しい。それなら教えてあげる。アタシ、去年の今頃までは普通のサラリーマンやったの。ちょっとはなよなよしてるところはあったし、今度生まれてくるなら女の方が断然いいとは思ってたけど、男に生まれたことを後悔するなんてなことはなかった。普通の男子やったのよ。

 そんなある日の日曜日のこと。電車の中でホントにガラの大きい女の人が私の横に座ってきたの。思わず振り向いたら、スゴイど派手な化粧につけまつげ。よくこんなんで眼が落ちないわねぐらいに長いつけまつげ。私、今でもなんでそのときあんなことしたんかわからへんけど、何かムズムズしてたまらなくって、とっさにそのつけまつげを引っ張ってしまったのよ。そしたらそのつけまつげがポロっとはずれちゃって。 
 その女の人が怒ったこと、怒ったこと。それは当然よね。水知らずの他人に急につけまつげを引っ張られたんやもの。
 
 その女の人、ドンガラに似合わずか細い声で「きゃあ、痴漢!」なんて叫んでさ。、さあ、それからが大変よ。駅員さんが飛んできて、駅長室でみっちり絞られてこと、絞られたこと。アタシ、謝りに謝ったんやけど、最後にはその女の人もアタシにそんな悪気がないことをわかってくれて、「私の店に遊びにきてくれるんやったら許したげる」っていうことになったのよ。そう、その人、スナックのママさんやったの。
 
 それでね、その日の夜、おそるおそるその店に行ったら、それが大歓待。それからアタシ、その店に頻繁に通うようになって。そのうち、アタシの中に眠ってた本姓のようなものに気づくようになって、とうとう、会社を止めてその店で働くようになったという訳。
 
 そうそうその店って、ここ「サリー」よ。そしてその女の人というのがこの店のチーママ「ゆりちゃん」。

 けど、なんであのとき、チーママのつけまつげを引っ張るなんてそこまでのことをしたんやろ。今考えてもようわからへんのやけど、あの頃、アタシ、川柳に興味を持ってて、そんときの気持ちを、こう詠んだのよ。

  ちょっとだけ つまんでみたい つけまつげ

 その頃、「目」をお題にした川柳」の公募があって、この句を投稿したら、なんと最優秀賞をもらっちゃって。5万円ゲット。それでチーママと飲んだの飲まないの。そりゃあ大変やったわ。

 これがアタシがゲイになったことの顛末。人生って不思議よねえ。何が転機でどう転ぶかわかりはしない。けど、今でもつけまつげって好きやわあ。
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