断酒日記再び(11/10 底突き)
昨日も、妻があまり体調がよくないので、私が夕食を作ることになった。
午後6時過ぎに家に帰って晩ご飯は何にしようかと妻に尋ねると、マーボ豆腐がいいという。
材料を買いに業務用スーパーに走った。木綿豆腐4丁、牛ひき肉、奴ネギ、チンゲン菜、もやし、揚げさんを買った。アルコール飲料コーナーが私を呼んでいたが我慢した。
マーボ豆腐を作っていると、もう一人の私が「おい、冷凍庫にバーボンが冷えてるぞ。嫁はんはちょうど風呂に入ってる。どや、いつもみたいにおちょこでキューっとストレートでやったら旨いでえ」と囁きかけてきた。
(飲みてえなあ)
けど、我慢した。1日断酒、これあるのみ。
マーボ豆腐の味を整え、賽の目に切った豆腐を流し込んで温め、小口切りにした奴ネギを加えて、片栗粉でとろみをつけてマーボ豆腐のでき上がりである。
続いて、チンゲン菜を一口大に切り、揚げを細めに切りそろえて炒め合せ塩コショウして、もやしを加え、野菜炒めのできあがりである。
子らを2階から呼び、風呂から出てきた妻を交えて、4人で食卓を囲んだ。
妻がいった。
「やっぱ、風呂上がりはビールよねえ。さっきお風呂に入る前に缶ビールを冷凍庫に入れておいてん。キンキンに冷えてる。飲もか」
マーボ豆腐にビール。思わず喉がなったが、一瞬の躊躇の後、私は「やめとくわ」と答えた。
「ふーん」
(昨日といい今日といいどうしたんやろ) 妻はそう思ったに違いないが、それ以上は言葉にしてこなかった。
断酒3日目達成である。
■ 妻の飲酒について再び
私は昨日のブログで妻の飲酒について書いた(→掲載ページ)。読み返してみた。追加しておきたいことがある。
あえて大袈裟に書く。私の断酒は妻の飲酒との戦いでもある。私の断酒の実践で妻を断酒の世界に引き込むことができるか、それとも妻の飲酒の誘惑に私が屈し、再び依存の道に回帰するか。
それは、言い方を変えれば、家族、夫婦の崩壊の道を選ぶか、再生の道を選ぶかということである。
もし、こんなことを妻にいおうものなら、「何を一人でイキってんのよ。アホらしい」と鼻で笑われることは間違いないから、言葉にはしない。
(太郎ちゃん、何をそんなに力を入れ込んでるんや。そんなんじゃ、断酒なんて継続できないぜ。まあ、肩の力を抜いて気楽に、気楽に)そういう声もどっかから聞こえてきそうだ。
けれども、私はあえて身構えよう。断酒は妻との戦いだ。この戦いの勝利なくして、夫婦の再生も家族の円満も、そして私の断酒新生もありえない。
■ 底突きについて
アルコール依存症の底突きについて考えてみる。
私の弁当ブログを断酒生活中心に開設し直し、このところ、小原庄助さんのブログをはじめ、あれこれの断酒ブログをサーファーしている。
断酒ブログを読んでいると、多くの人たちが断酒を決意するまでに、壮絶な飲酒、断酒を経験されていることに驚かされる。
連続飲酒によるブラックアウト、幻覚症状、経済的、社会的破綻、家族の崩壊、断酒をはじめたことによってはじまる苛烈な禁断症状、抗酒剤の常用服用と不眠との戦いなどなど。
多くの人たちは、そういうアルコール依存による底突き状態を脱して断酒に成功している。多くの断酒者が断酒の今を継続できているのは、もう二度とあんな地獄を味わいたくないという、依存の行き着くところ、底突き経験である。
翻って、私の場合を考えてみる。
これは以前にも書いたことだが、私にはまだ、アルコール依存による底突き経験がない。
私は、15歳頃から今日までの40数年間、ほとんど毎日アルコールを切らしたことはないが、仕事も家庭生活も社会生活もそれなりにこなしてきた。
若い頃には、2日酔いで仕事を休むということがたまにはあったが、この頃はそういうこともない。たいしたものではないが、社会的地位もある。
酒を飲んだくれて、妻や子らに暴力を振るったことはない。妻は「あんたは飲んで言葉の暴力を振るう」というかもしれないが、それは愚痴程度で、妻に罵詈雑言を浴びせるなどというものではない。
底突きの兆候があるとすれば、飲酒のために重ねてつくった多額の借金を妻に隠していることと、会社の健康診断で、医者からこれ以上飲み続ければ肝硬変で死ぬことになるといわれているのに飲み続けてきたことぐらいだろう。
私が、ここでいいたいこと、心配していることはこういうことである。
借金や医者からの警告が、断酒を継続しえている人たちの底突き経験に匹敵するほどに、これからの私の断酒の動機づけになりえるだろうか、私の断酒の意思を支えてくれるだろうかということである。
もし仮に、私が宝くじで1000万円を当てたとしたなら、断酒を継続できるだろうか。肝臓の数値が安定しても断酒を継続できるだろうか。私には自信がない。強烈な底突き経験がないからである。
それでもなおかつ、私が断酒を継続する意思を持ち続けるためにはどうすればいいのだろう。
断酒ブログをサーフィンしながら、この頃、そんなことをよく考える。が、答えはまだでない。
ま、あまりややこしいことはこれ以上考えないでいよう。とにかく、今は1日断酒あるのみ。
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