アルコール依存な人たち(クラブホステスナンバーワン)
今日は12月16日(日曜日)、断酒39日目。
昨日で断酒38日達成。たかが38日、されど38日。1日断酒あるのみ。
皆さんの断酒ブログをサーフィンしていると、肩肘を張らないで軽やかに断酒を継続されている人が、特に女性陣の中に多いようだ。
本当は苦しいのだろうが、それを表に出さないってことも時には大切だね。
私は根が暴露型で、性格的には陰湿、暗鬱、悲観、悲愴、姑息なので、まだ、しばらくの間はこのスタイルでブログを書こうと思う。
思いっきり肩肘張って、悲壮感を漂わせて、断酒、頑張るべえ。
X社長(X社長のことがわからない人は、次の記事を読んでね→掲載ページ) は、愛人Yさんと京橋のマンションに住んでいた。
私たち滞納処理班の強制執行担当者3人は、行政区域内を地区割にしていて、それぞれの担当地区内の強制執行時にX社長に同行した。
住宅の強制執行が終われば、現場近くの飲食店でX社長と遅い朝食代わりに焼肉を当てに酒を飲み、それが終れば京橋にでて、さらにどこそこの飲食店で酒を飲み、最後はスナックPに流れるのだった。
そこには必ずX社長の愛人Yさんがいた。X社長は本妻さんとは別居し、本妻さんは寝屋川のマンションに住んでいて、X社長は京橋のマンションにYさんと一緒に住んでいたのである。
Yさんは単なる愛人ではなかった。Y社長の仕事についても秘書役をこなしていて、裁判所への提出書類の調整などを一手に引き受けていた。X社長の影のような存在だったのである。
私たちはYさんのことを奥さんと呼び親しんでいた。
Yさんの体重は何キロあっただろう。聞いたことはないが100キロ近かったかも知れない。ブヨブヨに肥えていたが、笑顔の優しい人で、いつも痴呆のようにニコニコしていた。
片足がちょっと不自由で、その不自由な足に100キロ近くの巨体を乗せて、体を引きづるようにしながらのしのし歩くのだった。
しかし、Yさんはもとからこんな体だったのではない。その当時の体躯からは想像もできなかったが、Yさんは京橋の有名なクラブで、何度かナンバーワンを張ったこともあるホステスだったのである。
やや失礼を省みずいえば、野村克也さんの奥さん野村沙知代みたいなものである。彼女ももともとはクラブかどこかの美人ホステスだったらしいが、テレビにしゃしゃり出始めた当時から、昔の姿は見る影もなく、いかにも因業そうなおばさんでしかなかった。
こう書くとやはり失礼だ。誰に対して? もちろんYさんに対してである。
Yさんにはナンバーワンだった当時の美貌の面影をどこにも見出すことはできなかったが、優しい心根をもった温かみのある方だった。野村沙知代のような目立ちたがり屋の虚飾に満ちた因業な女ではない。
■ Yさんの自殺未遂
そのYさんがそんな体型になったのには訳があった。自殺を図ったのである。
X社長に見初められ愛人になってから、Yさんは一途にX社長に尽くしたが、それが本妻さんの知るところとなった。
それから、ご他聞に漏れず、X社長を間に挟んで、死ぬの殺すの別れるのといった痴話げんかが始まった。
もともとホステス時代からアルコールの好きだったYさんは、X社長とYさんに挟まれて悩みに悩み、どんどんアルコールに耽溺して、遂には風呂場で手首を切って自殺を図ったのだった。
もちろん、そうなった原因はX社長の下半身にあり、1番性悪なのはX社長に違いないが、こういう3角関係に勝者はいないし、誰が正しく誰が間違っているというのではない。
Yさんは自殺し損なったが、後遺症が残った。やや精神に異常をきたしたのだ。
治療の結果、一定の改善をみたものの、自殺未遂後の過食症傾向は治癒せず、そのためにどんどん体重を増やし、精神的な反応も鈍重となっていったのだった。
しかし、心根の素直な優しい人で、私たち滞納整理の担当者は、Yさんのことを、奥さん、奥さんと呼び慣れ親しんだのだった。
Yさんは、X社長との間のことを「あんな男と知り合ったのが一生の不覚だった」と私たちにこぼしていて、よくけんかもされていたが、「おまえ、あんた」と呼びあうその声は、お互いをお互いの命と呼び合っているように、私には聞こえたものだった。愛し合っていたのである。
■ X社長の葬式
X社長の葬式にYさんはこなかった。喪主を「親父みたいにだけはなりたくない」と公言していた、教師でクリスチャンだった長男が務め、本妻さんもその葬式に出ていたから、Yさんは参列を遠慮されたのである。
そうである。Yさんは、最後まで日陰の身に甘んじたのだった。
今、Yさんがどうしているのか、生きているのか、死んでしまったのか、私は知らない。会ってみたいが連絡の方途もない。確か身寄りもなかったのではなかったか。
ここにもアルコール依存に悩んだ1人の女性がいるのである。
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