断酒80日目 アルコール健康障害対策基本法の行方
■ 今日(1月25日(金)は断酒80日目。
昨日、断酒79日達成。たかが79日、されど79日。1日断酒あるのみ。
■ アルコール健康障害対策基本法案、通常国会に提出予定
私は、これまで、このブログで、アルコール健康障害対策基本法案の経過やその内容について、「アルコール健康障害対策基本法のことなど」(→掲載ページ )のコーナーで詳しく述べてきたが、この法案が今度の通常国会(第181回国会、1月28日召集予定)に提出される見通しになっている(→関連ニュース)。
そこで、今日は、その経過やこの法律案の内容について、簡単に整理しておこうと思う。
■ ヒューズ法
アメリカでは、あの禁酒法時代を経て、アルコール関連問題を国が中心となって、断酒に関する自助組織AA(アルコホリックスアノニマス)と連携しながら、総合的、体系的、統一的に対応するためのヒューズ法と呼ばれる基本法を制定した(→掲載ページ )。
しかし、わが国にはこのようなアルコール関連問題に関する国の基本的施策を定めた法律がない。
そこで、全国断酒連盟が中心となって、これまでも国会議員に働きかけを行い、超党派による議員連盟が組織はされたが、法整備は遅々として進んでこなかった。
■ アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略
一方、世界に目を向けると、アルコール規制の厳しいスウェーデンなどが中心となって、たばこの喫煙についての国際基準作りを終えたWHO(世界保健機構)に対し、アルコール飲用の国際基準作りを提案した。
これを受けて、WHOは、2010年5月、「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」(→掲載ページ)を決議した。
ただ、たばこの規制の場合は、各国がこれを守らなければならない法的義務を負う国際条約の形を取っているが、アルコールの場合は、法的拘束力のある条約の形をとってはいない。
各国が取り組むべき行動指針のメニューを打ち出して、そのメニューをどう消化するかは各国の判断に委ねる決議にとどまっている。
■ WHOの世界戦略を受けた日本の動き
この世界戦略を受けて、わが国でもアルコール健康障害問題にかかる法制化の動きが本格化した。
2010年9月、全国断酒連盟(→掲載ページ)と特定非営利活動法人アスク(通称:ASK→掲載ページ)が事務局を務める「日本アルコール問題連絡協議会(通称:ア連協)」は、アルコール関連問題に関する基本法の推進を決定し、関係団体に連携強化を呼びかけた。
日本アルコール関連問題学会、日本アルコール・薬物医学会、日本依存神経精神科学会の3学会が歩調を合わせ、東北大震災後の2011年3月、基本法についての「3学会合同構想委員会」を発足させた。
ア連協は、活発化した3学会の動きに連動し、基本法の法制化に向けた取り組みを強化して、アルコール問題議員連盟への働きかけを強力に行い、議員連盟はこれを受けて、2011年12月の総会で基本法推進を決定した。
2012年5月、3学会と一体となったア連協は、基本法制定に向けて「アルコール関連問題基本推進ネットワーク(通称:アル法ネット)( →掲載ページ)を設立した。
アル法ネットの働きかけを受け、アルコール問題議員連盟は、11月14日にアルコール健康障害対策基本法案を取りまとめ、臨時国会に議員立法として提出しその成立を目指したが、衆議院解散で先送りとなった。
以上が、アルコール健康障害対策基本法案をめぐる概略の動きである。では、その法案にはどんな内容が盛り込まれているのであろうか。
■ 法案の内容
法案はアルコールの有害な使用の低減を目指すというWHOの考え方に沿って、以下を基本に構成されている。
○ WHOの考え方に沿って、アルコールの有害な使用の低減を目指す。
○ 最新のエビデンス(根拠に基づいた保健医療)を基本にした対策を行う。
○ 一次予防(発生予防)、二次予防(進行予防)、三次予防(再発予防)のため、省庁横断的な「総合的で連携した対策」を目指す。
○ 地域における「関係機関」の連携を重視する。
○ 「アルコールの有害な使用」によって、被害を受けた当事者とその家族の支援対策を重視する。
上記の基本的視点に立って、法案は以下のような構成になっている(詳しくは →掲載ページ)
◇ 目的 法の目的を定める。
◇ 基本理念 法の基本理念を定める
◇ 人権等への配慮
◇ 責務
アルコール健康被害に関する国、地方公共団体、アルコール飲料を製造する事業者、労働者を雇用する事業者、国民の責務を明らかにする。
◇ 国と地方公共団体の基本的施策
国や地方公共団体の行う、アルコール健康被害に関する教育、広報、医療、社会復帰、人材育成 などの施策を定める。
◇ アルコール飲料の広告・販売に関する社会的規制
アルコール飲料の消費を過度に促進する広告・宣伝の規制や酒販店や料飲店に酒類販売管理者をおく制度について定める。
◇ アルコール関連問題総合対策会議の設置
内閣府に、関連省庁、事業者、メディア、保健・医療・福祉関係機関、自助グループ、市民団体の委員からなる対策会議を設け、都道府県に、関連部署、事業者、メディア、保健・医療・福祉関係機関、自助グループ、市民団体など民間団体の委員からなる対策会議を設け、地域内の連携協力体制を構築することを定める。
■ アルコール健康障害対策基本法が制定されれば何が変わる?
基本法は、アルコール問題についてこれからわが国が進むべき道筋を示した理念法(プログラム法)であって、国や地方自治体にアルコール関連問題総合対策会議の設置を義務付ける点などいくつかの条項を除けば、誰かに具体的な行動を義務づける内容にはなっていない。
では、この法律ができれば何がどう変わるのか。以下の点が指摘されている(詳しくは →掲載ページ)。
1.アルコール問題に関する戦略を打ち立てることができる
2.最低基準がつくられる
3.予算が確保しやすくなる
4.関係者の協議の場が設定しやすくなる
以上が、アルコール健康障害対策基本法の制定に向けた動きとその法案の内容の概略である。
今国会での審議を注視していいきたいものである。
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昨日、断酒79日達成。たかが79日、されど79日。1日断酒あるのみ。
私は、これまで、このブログで、アルコール健康障害対策基本法案の経過やその内容について、「アルコール健康障害対策基本法のことなど」(→掲載ページ )のコーナーで詳しく述べてきたが、この法案が今度の通常国会(第181回国会、1月28日召集予定)に提出される見通しになっている(→関連ニュース)。
そこで、今日は、その経過やこの法律案の内容について、簡単に整理しておこうと思う。
■ ヒューズ法
アメリカでは、あの禁酒法時代を経て、アルコール関連問題を国が中心となって、断酒に関する自助組織AA(アルコホリックスアノニマス)と連携しながら、総合的、体系的、統一的に対応するためのヒューズ法と呼ばれる基本法を制定した(→掲載ページ )。
しかし、わが国にはこのようなアルコール関連問題に関する国の基本的施策を定めた法律がない。
そこで、全国断酒連盟が中心となって、これまでも国会議員に働きかけを行い、超党派による議員連盟が組織はされたが、法整備は遅々として進んでこなかった。
■ アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略
一方、世界に目を向けると、アルコール規制の厳しいスウェーデンなどが中心となって、たばこの喫煙についての国際基準作りを終えたWHO(世界保健機構)に対し、アルコール飲用の国際基準作りを提案した。
これを受けて、WHOは、2010年5月、「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」(→掲載ページ)を決議した。
ただ、たばこの規制の場合は、各国がこれを守らなければならない法的義務を負う国際条約の形を取っているが、アルコールの場合は、法的拘束力のある条約の形をとってはいない。
各国が取り組むべき行動指針のメニューを打ち出して、そのメニューをどう消化するかは各国の判断に委ねる決議にとどまっている。
■ WHOの世界戦略を受けた日本の動き
この世界戦略を受けて、わが国でもアルコール健康障害問題にかかる法制化の動きが本格化した。
2010年9月、全国断酒連盟(→掲載ページ)と特定非営利活動法人アスク(通称:ASK→掲載ページ)が事務局を務める「日本アルコール問題連絡協議会(通称:ア連協)」は、アルコール関連問題に関する基本法の推進を決定し、関係団体に連携強化を呼びかけた。
日本アルコール関連問題学会、日本アルコール・薬物医学会、日本依存神経精神科学会の3学会が歩調を合わせ、東北大震災後の2011年3月、基本法についての「3学会合同構想委員会」を発足させた。
ア連協は、活発化した3学会の動きに連動し、基本法の法制化に向けた取り組みを強化して、アルコール問題議員連盟への働きかけを強力に行い、議員連盟はこれを受けて、2011年12月の総会で基本法推進を決定した。
2012年5月、3学会と一体となったア連協は、基本法制定に向けて「アルコール関連問題基本推進ネットワーク(通称:アル法ネット)( →掲載ページ)を設立した。
アル法ネットの働きかけを受け、アルコール問題議員連盟は、11月14日にアルコール健康障害対策基本法案を取りまとめ、臨時国会に議員立法として提出しその成立を目指したが、衆議院解散で先送りとなった。
以上が、アルコール健康障害対策基本法案をめぐる概略の動きである。では、その法案にはどんな内容が盛り込まれているのであろうか。
■ 法案の内容
法案はアルコールの有害な使用の低減を目指すというWHOの考え方に沿って、以下を基本に構成されている。
○ WHOの考え方に沿って、アルコールの有害な使用の低減を目指す。
○ 最新のエビデンス(根拠に基づいた保健医療)を基本にした対策を行う。
○ 一次予防(発生予防)、二次予防(進行予防)、三次予防(再発予防)のため、省庁横断的な「総合的で連携した対策」を目指す。
○ 地域における「関係機関」の連携を重視する。
○ 「アルコールの有害な使用」によって、被害を受けた当事者とその家族の支援対策を重視する。
上記の基本的視点に立って、法案は以下のような構成になっている(詳しくは →掲載ページ)
◇ 目的 法の目的を定める。
◇ 基本理念 法の基本理念を定める
◇ 人権等への配慮
◇ 責務
アルコール健康被害に関する国、地方公共団体、アルコール飲料を製造する事業者、労働者を雇用する事業者、国民の責務を明らかにする。
◇ 国と地方公共団体の基本的施策
国や地方公共団体の行う、アルコール健康被害に関する教育、広報、医療、社会復帰、人材育成 などの施策を定める。
◇ アルコール飲料の広告・販売に関する社会的規制
アルコール飲料の消費を過度に促進する広告・宣伝の規制や酒販店や料飲店に酒類販売管理者をおく制度について定める。
◇ アルコール関連問題総合対策会議の設置
内閣府に、関連省庁、事業者、メディア、保健・医療・福祉関係機関、自助グループ、市民団体の委員からなる対策会議を設け、都道府県に、関連部署、事業者、メディア、保健・医療・福祉関係機関、自助グループ、市民団体など民間団体の委員からなる対策会議を設け、地域内の連携協力体制を構築することを定める。
■ アルコール健康障害対策基本法が制定されれば何が変わる?
基本法は、アルコール問題についてこれからわが国が進むべき道筋を示した理念法(プログラム法)であって、国や地方自治体にアルコール関連問題総合対策会議の設置を義務付ける点などいくつかの条項を除けば、誰かに具体的な行動を義務づける内容にはなっていない。
では、この法律ができれば何がどう変わるのか。以下の点が指摘されている(詳しくは →掲載ページ)。
1.アルコール問題に関する戦略を打ち立てることができる
2.最低基準がつくられる
3.予算が確保しやすくなる
4.関係者の協議の場が設定しやすくなる
以上が、アルコール健康障害対策基本法の制定に向けた動きとその法案の内容の概略である。
今国会での審議を注視していいきたいものである。
電子出版プラットフォーム「パブー」から、田中かわずのペンネームで、400字詰め原稿用紙で10枚程度の短編小説「桜」「みっちゃんへ」「ピヨピヨ」「ベロの辛抱」、中編小説「おばあちゃんへの贈り物」を電子出版しました。無料です。よかったら読んでね。
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