断酒91日目 アルコール依存は自業自得か
今日(2月5日(火)は断酒91日目。
昨日、断酒90日達成。たかが90日、されど90日。1日断酒あるのみ。
断酒3ヶ月である。
これまで、このブログに、断酒開始時(→参照)、1ヶ月目(→参照)、3ヶ月目(→参照)、それぞれの体調変化について書いてきた。
今日で断酒3ヶ月。たかが3ヶ月ではあるが、されど3ヶ月である。どう体調が変化してきたか記録にとどめておこうと思う。
◇ 左わき腹と右わき腹の上から背中にかけての痛み。
飲酒時には、左わき腹と右わき腹の上から背中にかけてチリチリと痛んでやりきれなかったものだが、今はその痛みも消えた。
しかし、やや鈍痛めいたものを感じることがときにある。まだまだ、肝臓、腎臓に負担が残っているのだろう。
◇ 右おっぱいの周りの痒み
これがなかなか取れない。肝臓が悪いせいだと医学書にあった。
職場の先輩が、肝臓の数値があまりよくないのに毎日のように酒を飲んでいて、足の裏に痛い部分があり、「歩いていてそこに何かが当たるとたまらない。これは肝臓が悪いせいだ」といっていた。
確かに足の裏にはあれこれの臓器のつぼがあると聞く。足つぼ健康法というのもある。
その先輩に「私はおっぱいの周りがかゆいんですわ」というと、「肝臓でそんなとこが痒くなるやなんて聞いたことないで。それって欲求不満ちゃうか」と一笑に伏された。
医学書にはそうあるが、肝臓が悪くておっぱいの周りが痒くなるのは、どうもあまり一般的ではないらしい。
◇ 手足のむくみとしびれ
手足のむくみとしびれはほぼとれた。顔のはれぼったい感じもおさまってきた。いい傾向だ。
◇ 足の引きつり。
夜中に足がよく引きつったものだが、この頃はその症状もない。
◇ 体のだるさ
眠いのは眠い。が、これはどうやら年のせいもあるらしい。体のだるさという面ではかなり改善されてきているように思う。
◇ 尿の黄色さ
尿がやけに黄色くて、これはやばいなあと思っていたが、これも透明な感じが戻ってきた。ただ、ちょっと疲れると黄色みが出てくる。まあ、これも年のせいもあるのだろう、きっと。
◇ 下痢便
下痢便はほぼおさまった。いい傾向だ。まだ、とぐろを巻いたような固いやつはでないけどね。 ここで1句 「とぐろ巻く 便に会いたし 俺巳年」
◇ 体重の変化
体重計にはほとんど乗らないので、正確なところはわからないが、かなり体重が減ってきたようだ。張りつめていたずぼんのベルトがスカスカになってきた。
断酒してからこのかた、それまで食べるのも嫌だった甘いものに目がなくなって、これは肥えるぞ、断酒ブログの中には、断酒してえらい肥えたと書いてあるものも多かったぞと警戒していたが、さて、これはどうしたことか。 いい兆候なのかどうか、よくわからない。
まあ、こんなところである。朝起きて、二日酔いに頭をグラグラさせてトイレに入り、下痢便をしながら、頭を壁に打ちつけて後悔のほぞを噛むということがなくなったのが、なんといっても嬉しい。
アルコールをやめたくてもやめることができなかったあの頃を思い出すと、確かに今の自分が噓みたいだ。
しかし、記憶は忘れるためにあるもの。何度も何度もあの辛かった時期の出来事や自分の心持を反芻して、記憶を掘り起こし、あすの断酒の糧にしなければならないと強く思う。
■ 映画「酔いがさめたら、うちに帰ろう」
映画「酔いがさめたら、うちに帰ろう」は、写真家でエッセイストでもある鴨志田穣さんの小説の映画化(→参照)である。
この映画のことは、このブログでも何度か取り上げているが、主人公(塚原安行、演じるは浅野忠信)が、アルコール依存による食道静脈瘤破裂で10回の吐血を繰り返して、そのたびに病院に入院している。
元妻(岡田由紀、演じるは永作博美)は、このままでは塚原が死んでしまうと危機感を抱いて、アルコール専門病院に入院させるために、知り合いの医者にそのことを相談する場面が最初の頃にでてくる。
そこで岡田と医者がこんな会話を交わす。
岡田「(塚原が)報道写真家の頃、カンボジアやいろいろな国で地獄みたいな光景を見たといっていましたよ」
医者「でも、地獄をみたという人とそんな地獄の中で生きている人と、どちらが苦しいのでしょうか」
(岡田が医者をまじまじと見つめる)
医者「失礼。こんなこというつもりはなかったんですけど」
岡田「(岡田の)お父さんも依存症だったっていってましたし」
医者「うん、環境もありますね。挫折感とか劣等感とか、そういったことが引き金になることもある」
岡田「とにかく診てやってください」
医者「それはもちろん相談に乗りますよ。この病気が他の病気と決定的に違うのは、1番の特徴というのは、他の病気と違って世の中の誰もが本当には同情してくれないってことです。場合によっては、医者さえも」
岡田「うん、わかります。みんな自業自得だと思ってますから」
医者「はい。その覚悟が患者さんにも家族にも必要になります」
岡田「すこしはわかっているつもりです」
このあと、医者が「失礼な質問だと承知はしているが」と前置きして、岡田になぜ塚原と離婚したのかと尋ねる。
これに、岡田が小さい頃、夕暮れ時に1人で道を歩いていてとても寂しかった。だれか手をつなぐ人がほしかった。でも、そんな人はそういない。それに私は塚原から子どもを守らなければならなかったというような意味のことを答える。
医者が続けて、「それでは離婚したのに、なぜ、そんなに塚原の面倒を見るのか」と尋ねると、子らにとっては唯一の父親だから、それにいったん、好きになった人をそう簡単に嫌いになることはできないといった意味の言葉を返すが、岡田は、自分でそういいながら「好きになった人」という言葉に何かひっかかりを感じる
ここで場面は変転。塚原が酔いつぶれて、岡田に「俺の親友と何度寝た。どんなよがり声を上げた」などとありもしない事実を浴びせかけて汚い言葉でののしり、机の上の書きかけの漫画の原稿を破り捨てる場面が映し出される。
ドアの外には、その2人の会話や様子を固唾を呑んで見つめている2人の子ら。
■ アルコール依存は自業自得か
映画のこの後のことはいずれ書くとして、今日は、岡田がいった「(アルコール依存は)みんな自業自得だと思ってますから」という言葉について考えてみようと思う。
誤解を恐れずに書くと、まさにそのとおりだと私は思う。アルコール依存症に陥ったのは自業自得である。がんのように望みもしないのに人知れずその体の中に住み着いたわけではない。自らアルコールを好んで飲むことによって呼び寄せたのである。
問題はその先にある。アルコール依存症はいったんかかってしまうと、断酒以外には回復しない不治の病である。アルコールという薬害から生じる病である。専門の治療や断酒会などの自助組織に参加しなければ回復困難な病である。
いったん、アルコール依存症にかかった人が酒を止めることができないのは自業自得ではない。なぜならそれは、自分の意思だけでは回復困難な病気なのだから。
アルコールは自分で好んで飲み始めたのだから、自分でやめればいいじゃないか。それをやめないのはまさに自業自得じゃないか。そう人が考えるとき、アルコール依存症が自らの意思だけでは回復困難な薬害であること見逃している。そんな気がする。
確かにアルコール依存に陥ったのは自業自得だが、アルコール依存症から回復できないのは自業自得ではない。何か、禅問答のようだが、そういうことなのではないか。
これに似た例がある。アルコール依存は不治の病かという問いである。ある人はアルコール依存は不治の病だといい、ある人は、いや、断酒することによって回復することができるのだから不治の病なんかじゃないという。
これはどちらも正しい。同じアルコール依存という病を違った側面から表現しているに過ぎないと思う。
アルコール依存は何十年酒を断っても、いったん口にすれば元の木阿弥。元のアルコール依存に立ち戻るという意味では不治の病だが、断酒を継続するならば通常の人たちと同じような生活を送ることができるという意味では回復可能な病なのである。不治の病でもあり、回復可能な病でもあるわけだ。
これと同じように、アルコール依存に陥ってしまったという点では自業自得だといわれてもいたしかたのない面があるが、いったんアルコール依存に陥ってしまうと、それはまさに回復困難な薬害に冒されたのだから、その回復には専門機関や自助組織の援助が欠かせない。
自らの力でこの病を克服することは大変困難なことで、それを自業自得と片付けて本人の責任にしてしまうことなどできない。
そういう意味では、アルコール依存症は自業自得の病ではないのじゃないか。事柄を混同しないようにしなければいけない、そう思う。
私は、今、こんな風に考えているのだが、さて、みなさんの意見は如何。
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