アルコール依存と急性膵炎
アルコール依存の恐ろしさとか実態を知り、断酒の継続への思いを新たにしようと思うならば、アルコール依存者本人やその家族の経験談を聞いたり読んだりすることに勝るものはない。
断酒会が、なぜ、いいっ放し、聞きっ話しに終始するかといえば、依存者本人やその家族のアルコール依存体験を聞くことによって、それでは自分はどうだったのかと自身の過去を振り返り、アルコール依存に陥っていた自身の過去の姿に気づくこと、そして同じ体験に共感して、これからも断酒を継続していこうと決意を新たにするための、最も有効な手段だと考えられているからだと思う。
なぜなら、アルコール依存症はつまるところ、心の病なのだから。
■ アルコール依存体験記
で、以前、私は、断酒会で配布されているパンフレットの中に記載されている、アルコール依存者本人や家族の体験談をこのブログに転載したいと思い、断酒会にその可否を問い合わせたが、個人のブログに断酒会のパンフレットの内容を転載することは不可との返事をいただいた。
この返事は大変残念なものではあったが、わからなくはない。個人の開設したブログには様々なものがある。
営業目的であるものもあれば、個人を中傷するものもある。これらを十把ひとからげにして転載を認めることには問題ありということなのだろう。
そこで、私は、前々から、いろんな断酒ブログなどをサーフィンする中で、心を痛めたり共感を覚えた経験談を転載して、断酒を継続していくための糧にしたいと考えてきた(ブログに掲載されている経験談ならば、もともとが公開を前提として書かれているのだから、転載不可の断りがなければ、出典を明確にして転載したり引用することは許されるだろう)。
そんなコーナー(カテゴリ)を、「アルコール依存体験談」(仮称)と題して、これからこのブログに作りたいと思っている。
今回はその第1弾。
あの「キューポラのある街」や「愛と死をみつめて」などで、吉永小百合と数多くの映画に共演し人気を博した浜田光夫さんが、アルコール依存症に苦しんでいて、急性膵炎で入院したことを知り、アルコール依存と急性膵炎の関係についていろいろ調べていると、ヤフーの知恵袋にこんな質問が投稿されているのを見つけた。引用しよう(→ヤフー知恵袋該当箇所)。
主人(41)が長年に渡り急性膵炎を繰り返しています。原因はアルコール多量摂取です。
どうしてもお酒がやめられません。急性膵炎で入院し、退院してしばらくは反省するのですが、ほとぼりがさめると飲みはじめます。 何かと理由をつけては飲みます。理不尽な理由の時もたくさんあります。
アルコール依存症かと思ってしまいます。休みの日は朝から一日中飲んでます。お昼過ぎには泥酔。部屋のどこかに転がって寝ています。
膵炎食を勉強し、作っていましたが、馬鹿らしくなり普通の食事に戻しました。
家族の為にやめてほしいです。せめて晩酌程度なら構いません。
また入院したら…。会社にも迷惑だし…。
入院費…4ヶ月前の入院の時、入院費は父に借りました。情けないです。
そして仕事がハードで睡眠時間も少ない為、一番不安なのは死んでしまわないか、です。
お酒がやめられず膵炎繰り返してる方っているんでしょうか?
もう諦めて、主人にいつ何が起こっても娘と2人で生活していく覚悟も決めておかなければ…とも思いはじめています。悲しいですが。
(質問補足)
主人にいろいろ説得と言うか、私の気持ちも全て話したのですが、どうしてもお酒はやめたくないと言われました。やめる意思がない人をどう説得しても無駄な気がしてなりません。家族を大事に思ってくれているのですが…。気持ちと行動がちぐはぐなんです。
悲しい質問である。ご主人は間違いなくアルコール依存症だろう。そのことを奥さんはうすうす感じているが、ご主人にはまだ自覚がない。否認している段階だろう。
アルコールの多量飲酒と急性膵炎の発症の間の因果関係については、病理学的にははっきりと解明されているとはいえないようだが、疫学的には明らかな因果関係が認められている。
急性膵炎を発症する原因の多くはアルコールの多量摂取に起因しているのである。
この質問の投稿は、2011年6月とある。2年近くが経っている。この奥さんは、そしてご主人は、家族は、今、どうしているだろうか。
ご主人は、アルコール専門病院につながって治療を受けているだろうか。それとも、相変わらずアルコールに溺れ、家族は不安な毎日を過ごしていないだろうか。前者であることを切に願いたいものである。
この質問には、元看護婦さんの的確な解答がベストアンサーに選ばれている。大変参考になるので、少々長くなるが転載しておこう。
正しい対応こそご主人から断酒をする気持ちを引き出せる可能性のある道です。
間違いなくアルコール依存症だと思われますが、多くの内科医などは見落としてしまい、ご家族は大変な想いをされている事も多々あります。
内科医の多くは、離脱症状が出現するなどの事がない限り、アルコール依存症とは気づきません。
● まず、ご主人の酒を判定して下さい。
・久里浜式アルコール症スクリーニングテスト(KAST)
新Ver http://www.kurihama-alcoholism-center.jp/J-2-5c.html
旧Ver http://www.enjoy.ne.jp/~ikuro/alcohol/altest.html
旧バージョンは、周囲から見た情報でも、ある程度判定し易いですね。でも、そのうち、これもネットから消えるとは思いますが。
● 貴女の想い、行動をチェックして下さい。
「アラノンは私に必要?」 http://www.al-anon.or.jp/checklist/index.html
● 正しい情報を
・アルコール薬物問題全国市民協会(ASK) http://www.ask.or.jp/
・高知アルコール問題研究所 http://www.kochi-al.org/
・お勧めの本
「アルコール依存症を知る!」森岡 洋(著) ASK
「あなたが変わる 家族が変わる」 猪野亜朗(著) ASK
*ASKから直接購入を
● 正しい相談窓口を
・アルコール依存症の相談窓口は保健所や精神保健センターです。
・家族教室などを開催しているなら、出席を
・相談員に支えて貰いましょう。
● 家族グループへの出席
・アラノン(Al-Anon)家族グループ http://www.al-anon.or.jp/
・断酒会の家族会 窓口は全断連 http://www.dansyu-renmei.or.jp/zendanren/rekishi_8.html
*まずはアラノンを探して下さい。また、断酒会の普通の例会も参考になります。ご主人が行かなくても、貴女だけで出席を。
● 正しい対応
・ご主人の酒にはタッチしない。すでに程々に飲める身体には戻らなくなっています。そして、ご主人自身が、上手に飲めない身体である事を認める事が全ての出発点です。その答えを、ご主人に出してもらう事が第一歩です。
・周囲の人には、ご主人の酒をコントロールする力がありません。この無力こそ、正しい対応を出発点です。
・飲んだ後始末は一切しない。よほど危険でない限り、放置して下さい。これは、アルコールの影響で、酔っている時の記憶が曖昧になっているからです。正しい認識をご主人にして貰いましょう。
★ 断酒の為の治療を勧める
・保健所や精神保健センター、家族グループの支えで、正しい対応が続けられれば、ご主人の心の中から、断酒をする気持ちが引き出せる可能性が出てきます。
・アルコールの為の問題(入院も)、痛飲して反省している時に、断酒の為の治療を勧めて下さい。この断酒の為の協力以外は、しないように。
・もし入院したなら、しっかり身体からアルコールが抜けた時に、断酒の為の治療を勧めて下さい。これは酒が抜けて2、3日以内にする事。もし離脱症状が出現したなら、離脱症状が抜けて2日以内に話をして下さい。この時期を逃すと、アルコール依存症に伴う否認が戻ってしまいます。
・現在の主治医に、専門医療機関への転院をお願いする。
● アルコール依存症の治療とは?
・アルコール依存症の治療とは、専門医療機関+自助グループです。
・専門医療機関では、安全に身体からアルコールを抜き、アルコール依存症の教育を行い、酒害体験の掘り起こしをお手伝いしつつ、自助グループへの導入を行います。また、ご家族には、家族教室を開催している病院が多く、また家族グループへの出席を勧められるでしょう。
・アルコール依存症の自助グループは下記
「AA」(Alcoholics Anonymous) http://www.cam.hi-ho.ne.jp/aa-jso/
「断酒会」 窓口は全断連 http://www.dansyu-renmei.or.jp/zendanren/rekishi_8.html
● 最後に
・アルコール依存症は、再び普通に飲酒できる身体には戻りません。「せめて晩酌程度なら構いません」などという器用な飲み方は不可能なのです。したがって治癒しません。
・進行性で、致死的、そして家族ぐるみの病気です。
・意志の力で断酒をしようとしても無理です。しかし正しい方法で断酒を行うと、その可能性が高くなります。正しい方法とは、自助グループ+専門外来です。
・断酒をする事によって、健康を回復する事も出来るのが、この病気の特徴です。
①まずは正しい知識を
②保健所、精神保健センターへの相談
③家族グループへの出席
これを通じて正しい対応を行い、ご主人から断酒をする気持ちを引き出しましょう。
元アルコール依存症専門治療病棟 看護師より
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